ブラインシュリンプ:宇宙で生誕を果たした最初の地球生命体

ブラインシュリンプは宇宙時代を支える?

こんにちは。2021年はZOZOTOWN創業者の前澤友作氏が国際宇宙ステーション(ISS)に日本人の民間人として初めて滞在し、話題になりました。宇宙が私たちにとってより身近なものに思えてきます。将来的には宇宙で人間のベイビーが誕生するかも?

実は、宇宙空間で誕生を果たした史上初の地球生命体はブラインシュリンプなのです!!

なぜブラインシュリンプが宇宙で孵化することになったのか?宇宙空間での食物連鎖とは?

今回のブログでは、宇宙時代の到来を見据え、NASAが90年代に実施した興味深い実験を紹介いたします。

(以下、The New York Times Archive 1991年5月14日 記事 "SCIENCE WATCH; Shrimp Hatch in Space" 参照)

 

1991年4月、宇宙空間でミッション"STS-37"を遂行中のスペースシャトル・アトランティス号(写真引用:NASA)において44匹のブラインシュリンプが誕生しました。

これにより、ブラインシュリンプが宇宙空間で誕生した歴史上初めての地球生命となりました。

 

スペースシャトル・アトランティス

 

 この実験を発案したのは、カンザス州立大 (Kansas State University) とネブラスカ大学リンカーン校 (University of Nebraska - Lincoln) の生物学研究者チームで、実験目的は「無重力状態下でどのように動物が誕生・成長するのかを研究するため」とのこと。

誕生した44匹のブラインシュリンプのうち5匹は、数日経過後の1991年4月11日、スペースシャトルが地球に帰還した時点でも生きていました。学者チームは、39匹の斃死があった事について、酸素不足か水槽の栄養状態が悪かった可能性があると分析しました。

ブラインシュリンプは地上でも育成が難しいため、5匹だけでも宇宙空間から帰還できたのは快挙と言えるでしょう。

 

ブラインシュリンプの誕生はコントロールでき、宇宙空間で成長させることができます。アトランティス号に搭載されたブラインシュリンプはシスト(耐久卵・休眠卵)の状態でした。

今回の実験は、生物学研究者チームが砂粒ほどの大きさのシストを数10個程度あらかじめシリンジにセットし、シャトルが軌道に入るとシャトルの乗組員がピストンを押し、シストを塩水に投入するという方法で実施されました。

塩水に投入されたブラインシュリンプのシストは、順調に孵化への代謝を始め、結果的に地上と同程度の孵化率を宇宙空間でも再現できたそうです。

 

宇宙空間での動物の誕生・成長というテーマの他、NASAはブラインシュリンプについて、宇宙空間での食物連鎖において重要な役割を果たす可能性があると期待しています。

宇宙における食物連鎖とは、藻類が宇宙飛行士の排せつ物をエサとし、その藻類をブラインシュリンプが、そしてそのブラインシュリンプをエビや魚類、あるいは宇宙飛行士自身が食べるという内部完結型サイクルです。

 

これは今から30年ほど前の構想および実験です。しかし宇宙空間での長期生活のノウハウ蓄積がまだまだ途上である中、ブラインシュリンプは現在でもなお将来宇宙で欠かせない生物となる可能性があると期待されています。

 

参考記事:「ブラインシュリンプ 再び宇宙へ」

https://brineshrimp.jp/blogs/artemia_fun/artemia_off_to_outerspace

 

宇宙とブラインシュリンプの興味深い情報を、今後もご紹介していきます!