このページでは、下記内容について説明しています。
ブラインシュリンプは乾燥した卵(耐久卵)として販売されています。
下記の要領で孵化をさせ、孵化後の幼生(ノープリウス)を給餌します。
1回の孵化数量は様々ですので、こちらで記載した数量はあくまで目安として下さい。
① 容器を用意する
1ℓまたは500mlのペットボトルが便利です。
② 2~3%の食塩水、または人工海水を用意する
※3%の食塩水…1ℓの食塩水の場合、そのうちの30gが食塩である状態。
※①の容器には満タンに入れず、7~8分目が適当。
③ 水温を28~30℃にする
※容器にはヒーターを直接入れないこと。加温した水槽等の容器に浸け、湯煎をするような要領で水温を保持してください
④ ブラインシュリンプを1ℓあたり1~2g(小さじに約半分)入れる
⑤ エアレーションをかける
エアホース・エアストーンを用います(場合によってはエアストーン不要)。エアの強さは卵がボトルの底に滞留しない程度の強さで十分です。
※エアレーション中は適当な強さの光(蛍光灯でよい)を、できれば常時照射してください。
参考 ブラインシュリンプ孵化中の様子
⑥ 20~24時間経過後、エアレーションを止める
15分程度放置すると、ブラインシュリンプが孵化した後の卵の殻が水面に浮いて来ます。この時、底の方から光を当てると光源に向かってブラインシュリンプが集まってくるため、卵殻と幼生の分離が促されて採取しやすくなります。
※ブラインシュリンプ幼生には正の光走性があります。
⑦ ブラインシュリンプを回収する
採取はスポイトかエアホースを使ったサイフォンで吸い取り、細かいネットやストッキングに通して集めます。
⑧ 給餌する
食塩水または水道水でブラインシュリンプを洗ってから給餌してください。
ブラインシュリンプの孵化率は、時間経過のともに低減します。しかし、保存状態が良ければ急激に品質が劣化することはありません。製品使用中に「少し孵化率が悪いな…」と感じられる場合は、以下の点をご確認ください。
❶ 保管状態(特に開封後)
❷ 孵化条件
❸ 賞味期限
❶ 保管状態を確認しましょう
最適条件は0℃~10℃程度の温度で密封保管です(※家庭用冷蔵庫でOK)。常温でも保存はできますが、温度の上がりすぎに注意してください。また、湿気は大敵ですのでなるべく密閉して保存してください。商品に封入されている脱酸素剤は開封とともに効果がなくなります。使用が長期にわたる場合は、回数に応じて小分け保管をおすすめいたします。
また、低温で保存していても、頻繁な冷蔵庫からの出し入れがあると度重なる結露が品質劣化の原因となりますのでご注意ください。
❷ 孵化条件を今一度見直しましょう
ブラインシュリンプを孵化させるには塩分濃度、温度、光、エアレーション等と悩ましい条件が数多くあります。孵化率が良くない場合は、何か一つ「あっ・・」というミスがどこかにあるケースが多いようです。孵化作業にも、「何事も経験」という部分があるのかもしれません。
孵化条件の中でも比較的よくあるミスが、卵の入れすぎです。一度になるべく多くの幼生を得たいというお気持ちはわかるのですが、限界を超えての卵数では孵化中の密度が高すぎ、孵化率はかえって悪くなりますし、卵殻分離も悪く、幼生採取の際に多くの殻が混入する結果となります。「塩水1ℓあたり2gくらいまで」が理想です。
その他の条件については、今一度上記の「ブラインシュリンプの孵化方法」をご参照ください。
❸ 賞味期限
ブラインシュリンプは保存状態が理想的であれば数年にわたって使用できることもあります。しかしながら、品質管理目安としては開封後3か月程度を目安に使い切っていただくのが安心です。
ブラインシュリンプは生産年・生産ロットによって品質が変わります。魚たちと同じように、ブラインシュリンプも生育環境によってコンディションが左右されるからです。したがって、同じグレードの商品であっても常に数%程度の孵化率のブレが生じることは避けられません(※もちろん90%、85%など製品規格の範囲です)。採集年度が切り替わると孵化率を含めた特性(色合いや安定性など)が大きく変わることがあります。実際の孵化率の数字では数%にすぎない差が、見た目では大きく感じることがあるのはある意味自然なことかもしれません。
当社で販売中のブラインシュリンプは、すべて自社での孵化試験済みです。孵化試験は正確性を高めるため日常的に実施しており、それぞれ記載されている規格の孵化率を超える製品のみ販売しています。
また、当社では取扱量が多く回転も早いため、商品鮮度の高いものを皆様にお届けしております。もちろん輸入から出荷までの温度・湿度管理も徹底しておりますし、トレーサビリティも確保しています。こうした体制により、孵化率に問題のある製品は出荷していないと自負しております。
とはいえ、ブラインシュリンプは天産品であり、なにより生き物です。予測のつかない事態もあり得ますため、解決しないようでしたらご遠慮なくmail等でお問合せ下さい。
株式会社 藤本太陽堂